絵本『Zip & Candy ~ ロボットたちのクリスマス~』のキャンディちゃんを作ろう! (2)

絵本の作家(西野くん)さんが1/1のキャンディちゃんと初めて対面したときに、絵本の制作段階での苦労や描き終わったときの感動や安堵感、それに、ずっと会えなかった我が子にやっと会えたような感動が自然に芽生えなければ、僕らが誕生させた1/1のキャンディちゃんは、作家さんが望むものではないかもしれないということだ。

ということを考えながら、まずはキャンディちゃんのサイズ感を構想してみた。たぶん高さは700ミリくらい。キャタピラーの横幅は250ミリくらいかな。弊社の社員さんたちが絵本を読み解きながら、1/1キャンディちゃんをCADに落とし込む。それに頭の大きさもすごく考えた。なぜなら頭が個性的な形をしているから。しかも耳も個性的。昔気質のロボット然としてるのに、見ればみるほど本当に愛らしい。キャンディちゃんをこんなに毎日毎日思って、毎日毎日見ていたのは、作家さんの次に自分で、その次にうちの社員さんたちだろう。

キャンディちゃんの顔と体はブリキ仕様にすることにした。博士が加工するにはブリキがもってこいと想像したから。ちなみに厳密に言うとガルバリウム鋼板だ。キャンディちゃんの体にうってつけなのだ。ふと、学生時代にバイトをしていた建築板金屋さんを思い出して、キャンディちゃんの顔と身体はそこにお願いすることにした。普段、建築板金屋さんは家屋の屋根や壁や樋を取り付けたり、工場の屋根や壁を取り付けるのが仕事。特に壁や樋を取り付けるときは、職人の腕が発揮される。例えば、家屋の壁となるトタン板を貼っていくときは、窓のサッシや曲がり角を板金鋏で上手く切り欠いて取り付けていくのだ。樋も板金鋏で長さを調整しながら切り欠いて、真円に近い丸穴も開けてしまう。そんなトタンを曲げたり切ったりする技術を使えば、キャンディちゃんの顔と体が再現できるかもしれないし、その製作方法が博士の製作方法に一番に近いものだと考えたのだ。

学生時代にバイトをしていた建築板金屋さんに出向くと、当時の後輩が出迎えてくれた。事情は事前に話してあったので、早速2人で作業を開始した。久しぶりの共同作業だけど息はぴったり。後輩の腕前といえば、さすが職人。絵本を軽く確認すると、こんな感じなのかな、と、言いながらある程度の姿にしてくれた。姿ができれば、そこから2人で本格的な製作方法を考えて、かつ外見をどうやって絵本に近づけていくかを話し合うのだ。

つづく。

写真は銅板で段取り中の後輩くん。