ナイジェリアの貧困地域から世界へ(5)

大阪に着いたナイジェリア選抜は、この地でも宿泊先を提供してもらい、みんなで仲良く合宿生活を送る。夜はほぼ雑魚寝だが、ナイジェリアでの過酷な環境よりも遥かに快適だと喜ぶ。アバヨミ氏の出身地であるナイジェリアのラゴスのゲットーに訪問した際、彼の元実家に連れて行ってもらったことがある。元実家はコンクリートが打ちっ放しの7畳一間で、そこに10人程度か暮らしていたそうだ。そういった環境と比べれば、大阪の宿泊先は彼らにとってのスイートかもしれない。

大阪で再度のフレンドリーマッチを行い、大阪府ベスト4にもなる中学2年生チームに快勝した。この頃から懐疑的だったナイジェリア選抜の実力も、本大会ではそこそこ戦えるのではないかという認識に変わりつつあった。なにしろナイジェリア選抜は2.3週間程度だけ全体練習をした急造チームだからだ。

相変わらず宿泊先では大はしゃぎのナイジェリア選抜。人生で初めての銭湯にも挑戦した。ご想像通り、シャンプーや石鹸をつけたまま湯船に飛び込むナイジェリア選抜のメンバー。暖かくプールのような湯船に大満足だ。サウナに入ったり電気風呂に入ったりと全員笑顔が弾けていた。

本大会といえば、予選Bグループに入り、対戦相手はサガン鳥栖、湘南ベルマーレそして新座片山フットボールクラブの3チームと対戦することになっていた。ナイジェリア選抜にとっては申し分のない対戦相手だ。

ナイジェリアより遥かに快適な大阪の宿泊先。




大阪の宿泊先での一コマ。




大阪の宿泊先で、バヨと奥さんが朝の四時から選手たちの食事とお弁当を用意する。




銭湯での一コマ。

髪を櫛でとく誇り高き勇敢な若きナイジェリア選抜のメンバー。




つづく