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2019.04.15 お知らせ

三笠製作所 40周年記念講演会の様子【井谷俊介氏】

夢に向かって

アジアパラ競技大会優勝、パラアスリート井谷俊介氏の講演会を2019年4月15日、三笠製作所扶桑工場ショールームにて開催した。

交通事故で右ひざ下を失い義足となった井谷氏。一時は歩くことも諦めたが友人たちの支えもあり、将来への不安、幻肢による痛みを乗り越え現在は陸上100mで2020年東京パラリンピックを目指している。苦しい状況の中でも諦めず挑戦し続ける中で大事にしていることや心の変化などを語っていただいた。

井谷氏は2016年2月、オートバイの事故により右足首を粉砕開放骨折した。手術後、足首の再形成を試みるも壊死の進行が止まらず結果、事故から10日後に足の切断をすることになった。

切断後は幻肢痛に悩まされ、普通の痛み止めを飲んでもまったく効かずモルヒネなどの強い薬を使うことになった。痛みは多少和らぐものの副作用に悩まされることに。吐き気や意識がはっきりしない状態が続くなど辛い日々が続いた。

義足で歩くリハビリをするも痛みに耐えらえず、歩くのは諦め車椅子でもいいかなと弱音を吐くこともあった。そんな中親友が時には叱り、時には励ましてくれならがリハビリも一緒に付き合ってくれた。

退院後に義足の人たちがランニングをするコミュニティに参加することに。そこで子供から年配の義足の人たちが楽しそうに走るのを見て、井谷氏も思わず「走りたい!」という気持ちになりジョギング用の義足を借りて走ることになった。

約2か月ぶりに走った井谷氏。自分の力で走って風を感じる気持ちよさ・爽快さを味わい自然と笑顔になった。脚を切断してからそれほど日が経っていないので足に負担がかかると付き添った井谷氏の母親は心配したが、井谷氏は走ることが楽しすぎてしばらく走るのをやめなかった。

その後事故をする以前から挑戦していたモータースポーツにも復帰。アルバイトを3つ掛け持ちして自動車のレースに出場する傍ら、陸上競技にも挑戦する。プロの自動車レーサーになること、陸上競技で東京パラリンピックでメダルを取ることの2つの夢を目指す中様々なご縁があり、支援してくれる人や陸上競技のトレーナーと出会う。

2020年東京パラリンピックまで日が迫る中、東京パラリンピックまでは陸上競技に専念することを井谷氏は決断する。

昨年より陸上競技の大会にも継続して出場するようになった井谷氏。タイムも少しづつ伸び2018年アジアパラ大会で優勝するまでになった。

事故で脚を失って、「自分の脚で歩く」ということに幸せを感じるようになった。朝起きて外出する、食事をするだけでも決して当たり前なことではなく幸せなことなんだと今は思う。と語る井谷氏。そして夢や目標があったからこそ前に進むことができた、と強く語った。

講演後の質疑応答で「限界を感じたときどのようにして乗り越えるか」という質問に対して井谷氏は「限界を感じたとき、歩くことができなくて絶望したときのことを思い出すと乗り越えられることが多い。自分の原動力となるものを探して意識するようにすることが大事だと思う。」と話した。