メディア掲載情報
福島発防災製品を
被災地雇用 まず2人採用地元ニーズの反映、目標

中日新聞 2011年6月29日
同社の石田繁樹社長は「被災地支援には雇用創出しかない」と、震災発生一カ月後にいわき市へ飛び込んだ。作業所開設のめどを付け、五月中に三度足を運んで計十五人を面接、男女一人ずつを雇用した。
採用された男性はいわき市の柳井洋道さん。妻の実家が震災で全壊し、自宅に避難した妻の父親の生活を支えていたが、三月末、契約社員として勤めていた包装工場から契約打ち切りを言い渡された。その悔しさと不安を、面接で石田社長にぶつけた。
採用後、柳井さんは余震が続く福島に妻を残し、「早く仕事を覚えたい」と犬山工場での研修を志願。二十日から二十五日まで電線加工の作業を学んだ。
いわき市の作業所では今後、犬山工場から回した簡単な電線加工に取り組む。石田社長は秋までに十五人前後の内職の雇用を計画。制御盤製作の経験者も雇い、東北地方の取引先から直接受注できる体制を整える。
事業を軌道に乗せた後の目標も見据える。被災者の経験を聞き取り、「こんな器具があれば被害が防げた」という防災製品を開発することだ。インターネットで知り合った東京都大田区の町工場の経営者たちと連携して、三年以内に製品化。いわき市の作業所で生産する構想を描く。
七月二日にいわき市で、趣旨に賛同する大学教授らを交えて初会議を開き、アイデアを出し合う。「フクシマを世界一の防災用品のブランドに変えたい」。石田社長の夢は、被災地支援にとどまらない。