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「ゲーム専業」夢と不安


「三笠製作所 eスポーツ実業団チーム「KYANOS」所属選手の青山和矢が取材された記事です。」

三笠製作所 東京のエレクトロニクス関連国際展「SEMICON」出展

日本経済新聞 2019年2月18日

「ゲーム専業」夢と不安
e スポーツ 賞金で生計はわずか
国内外で高まるeスポーツ人気。腕に覚えあるゲーム名人たちが連日、各地の大会で覇を競う。ただ賞金で生計を立てられるプロはわずかだ。仕事を終え未明まで練習する会社員、通学の車窓で動体視力を鍛える学生・・・・・・。一流を目指す彼らの日常を追った。(細田琢朗)
会社員や学生、日夜の鍛錬
 「少し苦手な戦術の相手。でもそこまで強くない。いずれ得点できるタイミングが来る。」
 サッカー解説者の弁ではない。愛知県一宮市のアパート。青山和矢さん(32)は人気サッカーゲーム「ウイニングレイブン」(ウイイレ)で得点なしの前半を淡々と振り返った。24㌅のモニターの向こうにいるのはオンラインで見つけた相手だ。宣言通り、後半に得点し1対0で勝利した。
 運送会社で働く青山さんは帰宅後、こうした練習を5~6時間続ける。30試合以上プレーする日もある。録画し、失点シーンから守備のほころびを分析するのが日課だ。
 この日は3人1組で出場する大会に向け、SNS(交流サイト)でつながったチームメートとも練習した。「足元じゃなくてスペースに出して」「いま、センタリング。」マイク付きのイヤホンをつけて、互いに指示を飛ばす。未明まで試合を重ねた。
 その間、妻(33)は隣の部屋のテレビを眺めていた。1年前に大会の賞金で買ってくれた10万円のポーチを大事にしている。「応援はしているけど安定した収入が一番。のめり込みすぎるのは困る。」
 青山さんは2017年版の「ウイイレ」との相性がよく、急激に強くなった。国内大会の賞金に加えて企業主催のイベントの仕事も定期的に入るようになり、ここ2年間で80万円近く稼いだ。競技団体の公認ライセンスを持つ16人のうちの1人でもある。18年に愛知県内の中小企業が運営するチームに加入、遠征費の支援も受ける。
 ただ欧米などではウイイレの知名度はそれほどでもなく、高額賞金の大会は少ない。「選手」の多くは収入を仕事やアルバイトに頼っている。青山さんは「積極的に講演や解説の仕事を探し、ゲームで食べていけるようになりたい」と語る。
 eスポーツは瞬時の判断と機敏な操作が生命線だ。シューティングゲーム「フォートナイト」の選手で専門学校生の青木翼さん(20)は「通学の電車では、すれ違う列車内の様子をみる」。動体視力を鍛えるためだ。
 中学まで続けた野球は右肘のケガで断念。肘への負担が少なく勝負の醍醐味も味わえると考え海外選手とオンラインで戦うようになった。マウスやキーボードを思うがままに操るには腕の力が必要だと、引っ越しのアルバイトで鍛錬する。
 専業のプロ選手が夢。だが、大会の賞金はその時々のゲームの流行にも左右される。人気の衰えや新版への対応の難しさから他のゲームに転向せざる得ない選手もいる。「第一線を退いた後、同年代の人と同じように働けるかどうか。」セカンドキャリアへの不安があり、一般企業からの内定をもらった。
 業界は選手育成を掲げ、専門学校や部活動も登場。ゲームを生業にしようと志す若者はますます増える。「リアル」なスポーツと肩を並べるエンターテインメントになる日が来るのだろうか。
国内市場、22年には100憶円?
eスポーツは「エレクトロ二ック・スポーツ」の略称で、格闘技やスポーツなどの対戦型ゲームで競う。海外には億単位の賞金を稼ぐプロ選手がおり、2018年のジャカルタ夏季アジア大会で公開競技になった。
 ゲーム情報誌「ファミ通」を発行する「Gzプレイン」によると、18年の日本のeスポーツ市場は推計48憶3千万円で、17年の13倍に拡大。22年には100億円に成長する見込みだ。
 18年2月にはゲーム会社などが中心となり、競技団体「日本eスポーツ連合」を立ち上げた。それぞれのゲームの公認ライセンスを持つ選手は18年12月時点で計131人だ。
 浜村弘一副会長は「賞金の高い大会を増やし、スポンサーとファンの獲得を図る。選手のセカンドキャリアの道筋も示したい」と話す。専門学校などに呼びかけ、引退後に解説者や指導者の道を歩めるような環境づくりを進めるという。

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