Team LeMans SUPER GT 500の シリーズチャンピオン

レース終了後の記者会見や写真撮影も全て終わり、トランポに先に戻ってきたTeam LeMansの山下選手。山下選手は相変わらずあまり表情を変えることはないけれど笑顔だ。ニヤついている。トランポ内のソファーに座るなり、シャンパンファイトで濡れたレーシングスーツから普段着に着替えを始めた。上半身は裸だ。上半身裸の山下選手に、ふと聞いてみた。

「36号車をよく抜けたね?」

「ははは、カッチーン、と、きたから絶対に抜くときめたんですよ」

「1度目のオーバーテイクはダメだったもんね?」

「はい、、、あれで余計にカチーン、と、きて」

普段は飄々としていて、ゲームばかりしている青年は、ハンドルを持つと豹変する。「カチーン、と、きた」というセリフももちろん飄々と言うその青年は、ハンドルを持つと冷静に車を操作し、しかし外面からは想像もつかない闘争心でライバルたちと戦う。上半身裸の普段は飄々としてゲームばかりしている青年が、やけに男前に見えた。今日ばかりはめちゃくちゃモテるだろう。

続けて大嶋選手がトランポに戻ってきた。大嶋選手は疲れがあるだろうけれど突き抜けるような晴れやかな顔だ。晴れやかな表情の突き抜け方が今まで見た表情の中でダントツだった。トランポ内のソファーに座ると

「いやぁー、よかった」

それだけだった。その一言に全て凝縮されている。何もかも凝縮されている。本当に本当に「よかった」のだ。何もかもがよかったのだ。普段あまり大きな感情を表に出さない大嶋選手は、シリーズチャンピオンになった直後もさほど普段と変わらないルーチンですっ裸になり普段着に着替えた。

大はしゃぎしない、だけれど心の底から安堵感と幸福感に浸るドライバーの2人とチームは、今日からSUPER GT500のチャンピオンなのだ。誰もが恋焦がれるチャンピオンなのだ。おめでとう。ありがとう。