言葉は他人の心を動かす アラブ首長国連邦にて。

なかなか思い通りにならないアラブでのビジネス。まぁ、そんなことはかれこれ5年も前から分かりきっていることだけれど、今回のミーティングは結構押し込まれた感は否めないかな。そんなこんなでミーティングの後はハンバーガーをやけ食いした。

低調なというか、まぁ、アラビア人と日本人との間で妥協して着地したミーティングの後、夜の8時15分から気分転換というわけではないけれど、アラブ首長国連邦のアルアインFCでプレイする友人の塩谷くん の試合を観戦するために、ドバイとアルアインの間に位置するちょっとだけ僻地のDubai Club Stadiumへ。

アラブ首長国連邦の地でサッカー選手としてプレイする塩谷くんには学ぶことがやたらと多い。昨年の秋に一緒にお茶した時も、明るくあっけらかんとアラブ首長国連邦での苦労話を面白おかしく話してくれて、自分の心のスイッチもプラスにオンされて、折れそうな心をすくい上げてもらった記憶がある。異国の地で頑張る塩谷くんの話や言葉は久しぶりに自分の身に沁みて毛細血管の奥まで行き渡った。そのタイミングで間違いなく初心を思い出すことができた。感謝だ。

そんな塩谷くんの今日の試合の相手はドバイのアルアハリ。そう、たまたまだけれど自身のクライアントでもあるドバイ警察のGHQの目の前に位置するクラブだ。まぁ、だからといって変な愛着もあるわけではなく、ガルフリーグに所属する1つのクラブチームとして認識している。

スタジアムは風が強く、両ゴール裏にはスタンドがない変形スタジアムなので、風上風下でかなりのアドバンテージが出るコンディション。サポーター達はサイドスタンドの真ん中で別れて陣取り、90分間途切れることなく生声で歌を歌い続けて応援する中東独自のスタイル。たまに意味不明なサイレンが鳴り響く。サイレンの鳴り方に規則性や法則を見つけられなかった。それら全てが日本ではなかなか馴染みがない。ちなみに、サポーターのほとんどはガンドゥーラを着ているのでスタンドは白く染まる。

その中東のアラブ首長国連邦でプレイする塩谷くんのアルアインFCは、なんと退場者を2人も出す展開により3-0で完敗。前半にアジアカップで魅せた糸を引くようなミドルシュートを右足で放った塩谷くんだったけれど、惜しくもポストに当たってゴールならず。試合後、塩谷くんに宿泊先のホテルまで送ってもらった車内で、「あのミドルは左足だったら入ったかな」みたいな冗談も言えるほど気持ちの切り替えは済んでいたみたい。まさしくポストやバーに当たるシュートは勝負の綾みたいなものか。

塩谷くんと帰路の車内で前回同様に色々と話をするうちに、午前中の低調なミーティングを払拭できるほどの気持ちの切り替えができた。また感謝だ。「僕が中東で頑張るうちは石田さんも一緒に頑張りましょうよ」と。この一言で十分だ。もう頑張れる。かなり頑張れる。たぶんかなり踏ん張りが効くと思う。アラブ首長国連邦で同じように仕事をする男に言われたら、鳥肌が立つほど説得力がある。アラブ首長国連邦で同じように仕事をする男に言われたら、こちらも負けてられないと意味不明なやる気が出てくる。特効薬だ。これが劇薬か。

宿泊先のホテルに到着して塩谷くんと握手をして別れたあと、自分の気持ちはすでに晴れやかに。その日の夜もよく眠れた。起きた時も体調はすこぶる快調だった。これからもアラブ首長国連邦ドバイでの仕事は、この特効薬というか劇薬で今まで以上にうまく行きそうだ。ありがとう。

また再来月頃にはハッザビンザイードスタジアムで。